採用凍結期間中にチームを支える方法

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2024年2月1日
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概要

採用凍結が気になるという方、それはあなただけではありません。採用凍結は、会社と既存の従業員を財務的に不確かな状況から守れる一方で、不安の原因にもなります。会社が採用凍結の実施を発表した場合は (もしくは現在の市況が職場にストレスを引き起こしている場合)、共感を持ってチームを引っ張り、不透明な時期を共に歩みながら、チームをサポートする方法を見つけることが重要になります。

採用凍結は、レイオフ (不況による一時解雇) ではありませんが、従業員が勤め先の会社における自分の将来を心配する原因になります。マネージャーとしては、透明性のあるメッセージ、明確なコミュニケーション、そして最も重要なこととして、大いに共感する姿勢を持ってチームを引っ張ることが、従業員を支えるためにできる一番な大切なことと言えます。

不透明な時期に従業員のメンタルヘルスを守るには、透明性を保ち、従業員を支えることにフォーカスしましょう。この記事では、会社で採用凍結が予定されているあるいは将来的に行われる可能性がある場合から、現状の中でただ従業員に安心感を与えたいという場合まで、チームを支えるために実行すべきステップについて説明します。

採用凍結とは?

採用凍結とは、会社が不可欠ではないポジションの新規採用を一時的に停止することです。採用凍結は、実施する範囲がさまざまです。たとえば、会社全体で採用を完全に停止する場合もあれば、特定のチームに限定される場合もあります。一般的に、会社は、財務的に苦境にある場合や外部要因の影響によってパフォーマンスが低下している場合などに、採用凍結を実施します。

会社が採用凍結を実施する一般的な理由とは?

会社は、採用凍結をさまざまな理由で実施します。必ずしも会社の財務状態と関係があるとは限りません。市場の不確実性といった外的要因から企業を守るために採用を停止することもあります。

会社は一般的に、以下のような理由で採用凍結を実施します。

  • 市況の変化や経済の後退が予測される場合など、会社の収益や利益に影響しうるマクロ経済上の要因

  • 世界的な景気後退など、会社の利益に影響しうる世界規模の外的要因

  • 流動性や予算に関する懸念など、社内における財務上の懸念

採用凍結は、一時解雇とは異なり、採用の一時停止が必要となった状況から現在の従業員を守るために実施するものです。採用凍結は一時解雇に至らないことを保証するものではありませんが、会社が変化しつつある状況を認識し、積極的に対処していることを示す良い兆しであると言えます。

採用凍結の潜在的な影響とは?

不透明な時期には、生産的に働くことはもちろん、普通に生活することが困難になります。世界危機にしろ、市場の変動にしろ、不透明な状況は人々を不安にさせ、職場でのパフォーマンスを低下させる原因となります。

採用凍結の実施は、必ずしも会社が財務的な問題を抱えていることを意味するわけではありません。組織が単に外的要因に対応しているだけという場合もあります。しかし、採用の凍結は、確かに会社が財務上の懸念を抱えていることを反映している場合もあるため、従業員のストレスが高まり、士気が低下し、離職率が上昇したり、生産性が低下したりする可能性もあります。

採用凍結への対処が不適切だと、従業員に以下のような悪影響を与える場合があります。

  • 採用凍結が実施された理由が不透明であったり、理解が不十分であったりすると、従業員が混乱し、確信を持てなくなる

  • レイオフが間近に迫っていることや会社の財務状態を懸念し、従業員の士気低下する

  • 新規採用が行われないことを補うために、作業が再分配され、既存の従業員の作業量が増える。これは最終的に燃え尽き症候群を引き起こす場合がある。

  • 従業員が会社の財務状態を心配し、退社を決断するようになるため、離職率が上昇する

しかし、採用凍結によって起こりうる影響は、悪いものばかりではありません。マネージャーにとっては全体的なビジネス戦略を見直す時間となり、既存の従業員にとっては成長する機会になります。採用凍結を正しく実施すれば、以下のようなことが可能になります。

  • 既存の従業員を一時解雇せずに、財務的な安定性を回復する

  • 現在の市況や動向に適応するよう、ビジネス戦略と成長戦略を再評価する

  • 現在のチームメンバーにリーダーシップとストレッチ成長の機会を提供する

  • より効果的にキャッシュフローを管理することによって、現在のチームやビジネスチャンスの予算を立てる。

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採用凍結期間中にチームを支える 4 つの方法

会社が採用凍結を実施する場合、心に留めておきたいことがいくつかあります。チームと明確なコミュニケーションを取り、サポートを提供し、採用凍結が原因で既存の従業員が働きすぎることがないようにすれば、従業員の士気を守り、上述した悪影響を軽減できます。

採用凍結期間中は、以下の 4 つのステップを実行してチームを支えましょう。

1. 透明性を重視する

採用凍結をチームにどう伝えるかは極めて重要です。初めに共感を示し、採用を停止する決断に至った経緯を率直に伝えることで、チームを安心させ、誤解を減らすことができます。可能であれば、採用凍結はいつ、どのようにして実施されるのか、会社は現在の従業員に及ぶ影響をどのように軽減する予定かといった背景情報を従業員に伝えましょう。従業員は、必要なことがすべてわかれば安心しますし、マネージャーもメンバー全員が同じ認識を持っていると確信できます。

すべての答えが揃っていなくても心配要りません。それまで、意思決定プロセスや実施プロセスに関与していなかった場合はなおさらです。実際、自分自身がまだ情報を処理している最中かもしれません。その場合は、そのことをチームと共有し、不透明な状況を一緒に乗り切りたいと伝えましょう。この状況でできる一番重要なことは、オープンなサポートシステムとしての役割を果たすということです。

以下に、透明性をもって採用凍結について伝える方法を紹介します。

  • 既存のチームのために意思決定プロセス (会社が採用を一時停止した理由を含む) をまとめる

  • 可能であれば、従業員と採用凍結のタイムラインを共有する。

  • 採用凍結が目標にどう影響するかを率直に伝える (個人および会社全体のイニシアチブを含む)。

  • 匿名のフィードバックフォームや 1on1 ミーティングなど、チームメンバーがさまざまな方法でフィードバックを行えるようにする

  • 全社会議や会社全体の最新情報、Q&A セッションを使って、従業員に最新情報を周知する

2. 会社の目標と個人の目標を調整する

採用凍結期間中、従業員は一般的に、リソースが制限されることによって、仕事量が増え、燃え尽き症候群や過労につながることを懸念します。このような事態を防ぐために、まずは会社やチームの目標を再調整しましょう。

目標を調整すると聞くと恐ろしいことのように思えるかもしれませんが、不透明な時期に会社と従業員が前進していくのには、必要なことなのです。インパクトの大きな仕事に照準を合わせて目標を調整すれば、チームは関連性の高い、意義のある結果を出すことができます。また、関係者に対する期待事項を設定し、チームに余計な負担がかかるのを防げるため、チームの仕事量が管理しやすくなります。

まず、会社全体の目標とチーム全体の目標を確認します。今いるチームメンバーでどのような作業をこなせるか?採用停止によって生じた変更に応じて調整する必要があるものは何か?会社に一番大きなインパクトを与えるのはどの目標か、また先延ばしできるのはどの目標か?といったことを確認します。

採用凍結に応じて目標を調整するときは、現実的なアプローチが重要です。ビジネス目標のスコープを変更または縮小するには、以下のような方法もあります。

  • 会社にとって最も大きなインパクトを生み出す戦略調整および優先事項の再設定にフォーカスする

  • 長期的なビジネス目標に合わせて優先順位をつけることによって、会社とチームが継続的に成果を出せるようにする。

  • リソースの制限を考慮して、実行不可能となったタスクなどを確認するために、個人、四半期、年間の目標をレビューする

  • より重大な当面の目標を優先すべく、会社の長期目標先延ばしにしたり、難度を下げたりする。

  • 現在の市況に合わせて目標を調整、先延ばし、または変更する

  • 部門やアウトプット、予算、インパクトに応じて目標を調整するなど、個別のアプローチを取ることによって、目標を設定しなおす。

  • 従業員のモチベーションを保つために、付加価値やキャリアアップ、関係の構築にフォーカスする形で個人の目標を調整する

3. 現在の従業員のやる気を維持する方法を探す

採用凍結期間中、特に財務上の懸念による場合は、従業員のキャリアアップやエンゲージメント向上に向けた取り組みが縮小されがちです。しかし、従業員エンゲージメントは、不透明な時期にこそ欠かせないものなのです。

従業員エンゲージメントやキャリアアップの取り組みは、予算を切り詰めなくてもできることです。以下に、採用凍結期間中に現在の従業員のやる気を維持する安価な方法をいくつか紹介します。

  • 従業員のやる気を維持し、会社が引き続き結果を出せるよう、インパクトの大きな仕事を優先する

  • 会社の収益に影響を与えない範囲で、新しいスキルやツールの使い方を習得するなど、将来に期待を持てるようなキャリア目標を立てるようチームに働きかける

  • 目標を再調整しながら、別のチームと部門をまたいでコラボレーションをする機会を作る

  • 従業員感謝プログラム、会社全体へのメッセージ、個別のメール、1on1 ミーティングなどを通じて、従業員のハードワークを評価して称える

  • 創造的で革新的なアイデアを歓迎し、従業員に変化を生み出すチャンスを与える

  • 持ち寄り形式のチームランチやボランティア活動の機会、コーヒーウォーク、チームビルディングゲームなど、安価で行えるチームアクティビティを企画する

  • コーチングの機会やメンタープログラムを設けて、キャリアアップを促進する

  • 「ショー & テル」や「ランチ & ラーン」といった社内イベントを開催して学びの文化を促進する

  • 可能であれば、リモートワークやハイブリッドワークといった、フレックス勤務を許可する。Asana の調査によると、多くの場合、ナレッジワーカーは自宅の方が仕事に集中でき、またリモートワークの柔軟性によってワークライフバランスが改善することがわかっています。

4. 従業員のメンタルヘルスの状態を把握しておく

採用凍結が従業員の士気、不安、疑念に悪影響を与えることは珍しくありません。ですが、それはそれで構いません。変化や予想外の展開は、職場でも、プライベートでも、対応が難しいものです。チームリーダーも、疑念や不安を感じることはあるでしょう。しかし、特に困難な期間中は、チームの総合的な満足度とメンタルヘルスをモニタリングすることも、チームリーダーの責任となります。

チームに対して透明性を確保することの他に自分がサポートできることはないか、定期的に確認するようにしましょう。また、以下のようなことも効果的です。

  • メンタルヘルス休暇やウェルネスプログラムなど、健康につながる福利厚生を提供する。

  • 心身ともに休み、充電し、仕事モードをオフにするために、休暇を取るよう従業員に働きかける

  • 普段から 1on1 ミーティングのときに従業員の状況確認を行うことによって、心配事などをチェックし、フィードバックを受ける。

  • 休暇を取り、勤務時間外に働かないことによって、模範を示す

  • リソースの縮小によって起こりうる過労に注意し、作業を意識的に再割り当てする

  • 働きすぎや燃え尽きを防ぐために、従業員のタスクを削除する割り当てる

  • メンタルヘルスの支援が必要な従業員がいれば、人事部に相談するように勧める

困難な時期にチームを支える

採用凍結を乗り切ることは、決して簡単ではありません。従業員が不安を抱えたり、燃え尽き症候群に陥るなど、意図しない結果が生じることを心配に思うのは、いたって自然なことです。しかし、新規採用の停止は、現在のチームにフォーカスしたり、ビジネス戦略の照準を合わせ直したりする機会にもなります。透明性を保ち、従業員エンゲージメントとメンタルヘルスを優先する手段にフォーカスすれば、チームも、あなた自身も、かつてないほど強くなれるはずです。

状況を問わず、チームは、自信があり、体制が整っているときこそ、良好な働きをします。それを後押しするのが、ワークマネジメントです。すべてのチームのプロジェクトをコーディネートし、仕事のための仕事を取り除けるため、実際にビジネスにインパクトを与える仕事に取り組むことに集中できます。

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